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インターミッション【もう一つの決着】

CHARACTER

籠倉 龍吾:大和 稟 

ライル=マイローダ:相羽 丈 

リリィ:青井 凛 

​ニシキコイダー:相羽 丈

バーテンダー:W.インカネーション

​コンピューター:大和 稟

◆S-26.1【ドラグーンホロデッキ シータ6にて】

Unknown Track - Unknown Artist
00:0000:00

龍吾    「コンピューター。ホロプログラム、籠倉龍吾 シータ6起動」

コンピュータ    「そのプログラムはすでに実行されています」

龍吾    「ん?」

  扉が開く。バーになっている

ライル    「遅かったな。中尉」

龍吾    「ライル……」

バーテンダー    「いらっしゃいませ」

龍吾    「……いつものをくれ」

バーテンダー    「かしこまりました」(カクテルを作る)

ライル    「調子はどうかね」

龍吾    「ああ。上々だ」

ライル    「そうか」

バーテンダー    「おまたせいたしました」(カクテルが出てくる)

龍吾     「煮え切らねえな、ライル。お前らしくないぜ」

ライル    「……ああ。そうだな。……私はまだ迷っているらしい」

龍吾    「お前にも答えが出せない事があるのか? 宇宙は広いな」

ライル    「まったく……そのとおりだ。……君は、生命の定義について、どう思う」

龍吾    「……分からねえな。定義なんて絶対的な価値観は、犬にでも食わせちまえばいいと思うぜ?」

ライル    「だが、我々が生き続ける上での拠り所でもある。君が出会った世界には、我々人類の示す生命など、到底幼いものなのだろうが、どんな生き物にでも幼児期が存在するのもまた事実だ」

龍吾    「……確かに、人類は未成熟だな。この宇宙じゃぁ」

ライル    「教えてくれ、中尉。なぜ生命は争いを辞めることができない。次元帝国もWOTGUも、ヴォルカディア帝国も…… そして我々人類の歴史でさえも……絶えず生存競争という名の争いを辞める事ができない。この宇宙に生まれ出生命に負わされた宿命なのか……? それが命というのなら……我々は」

龍吾    「悲観的に過ぎるぜ。ライル」

ライル    「…………」

龍吾    「生命の定義……それは決まることのない永遠のテーマだ。いや……決まっちゃなんねえ……そういうタチの悪い代物だ。もしこの宇宙に神様がいるなら、その絶対的な答えをくれるかもしれねえ。そうすりゃあこの宇宙のあり方もスマート。ノープロブレムだ」

龍吾    「面白い話がある。そこにいるホログラムのバーテンと俺の違いはなんだ?」

ライル    「……君は生きた人間で、彼はホログラムだ。プログラム通りに映る立体映像だろう」

龍吾    「模範解答だ。だが斜に構えちまえば、どっちも人の形をした動くモノだ」

ライル    「…………」

龍吾    「大昔の人間に同じ質問をすりゃあ、答えは違う。こいつも俺と同じ生きた人間だって応えるだろうぜ」

龍吾    「人の形を模したものでも、俺達はそこに命を感じる。俺達が相棒に語りかけるように、大昔の人間だって日用品に名前をつけ、それを失う時には涙を流したもんだ。そこに生命の定義が必要か?」

ライル    「それとこれとは話が違うだろう」

龍吾    「そうかな? 思った以上に近い所にある話だ。もっと拡大すりゃあ面白い話がある。お前はGhostの存在を信じるか?」

ライル    「…………何?」

龍吾    「霊魂、幽霊、魂……何でもいい、人は死後の世界にさえ、生命の存在を求めている。面白いことに、死後の世界を想像する慣習は宇宙のあちこちにあった」

ライル    「ほう……」

龍吾    「死者は物質生命の定義から離れ、別の世界にある存在。ってのが大方の答えだった。だがその存在は結局俺らが知覚する生命と大差ねえ。足はねえけどな」

ライル    「ああ」

龍吾    「死後の世界や、動きもしねえ物体にさえ、俺達は命を感じ、受け入れている。そんな曖昧な物に定義が必要か?」

ライル    「…………」

龍吾    「ライル、お前にゃそんなことわかってるはずだ。……お前が知りたいのはもっと別のことだろう?」

ライル    「……ああ。私は、戦う理由を探している。ここに来て初めてな。だから分からない。今まで一度も迷った事など無かったからな」

龍吾    「最初からそう言えよ。素直じゃねえな」

ライル    「生存競争の中で、我々が生きる権利を行使するだけの意味が一体どれほどあるのか…… 私は死を経験し、命の儚さも、その無力さも知ってしまった……だからこそ、今答えを見つけることができずにいる」

龍吾    「く……くっくっく あっはっはっはっはっは! はぁ~~ よーし分かったよ。お前に一番わかりやすい方法で、俺が教えてやる。ダチの悩みにゃ付き合ってやらなきゃな」

ライル    「な、何をするつもりだ」

龍吾    「コンピューター。戦闘シミュレートプログラムを起動。機体ナンバー1022、ソニックヴォイダーシグマ。機体ナンバー0214、オーディン-ザ-デウスをオープン」

ライル    「どういうことだ、中尉」

龍吾    「なあライル。お前との賭け、確か一勝一敗だったな」

ライル    「ん?」

龍吾    「決着つけようぜ。今ここで」

ライル    「それとこれと一体何の関係が……」

龍吾    「ルールは簡単。相手を叩きのめせば勝ちだ。行くぜ」

ライル    「……良かろう。友の言葉は信頼するものだ……!」

◆S-26.2 【ソニックヴォイダー∑ VS オーディン=ザ=デウス】

龍吾    「籠倉龍吾、ソニックヴォイダーシグマ!」

ライル    「ライル=マイローダ。オーディン-ザ-デウス!」

龍吾・ライル    「出る!」

龍吾    「本物と違ってちょっと軽いが、まあいいか。吟じるぜ、相棒!」

ライル    「ショータイムだ! 私は…… 全ての悪を断罪する!!」

龍吾    「おおおおおおおおおおお!」

ライル    「うおおおおおおおおおお!」

龍吾    「へえ 俺も悪の一つってか」

ライル     「少なくとも、君の保つスーパーサウンドマシンの力はこの宇宙において恐怖の対象……すなわち悪になりうる!」

龍吾    「ぐあ! てめえこそ! 鹵獲されたあげく悪党の手先にされやがっただろうが!!」

ライル    「ぬう!!」

龍吾    「喰らえ!! リボルバスター!」

ライル    「ぬるい!! ブラスターサーカス!!」

龍吾    「当たるかぁ!!」

龍吾    「うおおおおおおおおおお!」

ライル    「うおおおおおおおおおお!」

◆S-26.3 【リリィとニシキコイダー】

ニシキコイダー    「HEY、リリィ~ ライルはいないのですか?」

リリィ    「……彼に用事?」

ニシキコイダー    「オーディンタイプがまた出た時の対応方法を聞いておこうと思ったのデスガ」

リリィ    「今ガス抜きしてる所よ。しばらくすれば戻るわ」

ニシキコイダー    「ガス抜き、WHAT!? ライルの体はガソリンで動いているのですか!?」

リリィ    「ふざけたこと言ってるとまた首を外すわよ」

ニシキコイダー    「Oh! Jesus!」

リリィ    「ふふふ……」

◆S-26.4 【JUDGMENT FIGHT】

龍吾    「はぁ……はぁ…… さすがにしぶとい!! !? ち!球切れか!」

ライル    「君の弾倉は空だろう! ここまでだ!」

龍吾    「ちいいいい!!」

ライル    「格闘戦でオーディンとの質量差を埋められると思わないで欲しいな!籠倉中尉!」

龍吾    「ぬあああああああああああああ!」

ライル    「コレで終わりだ! 私は、君を断罪する!!」

龍吾    「うおおおおおお!」

ライル    「……チェックメイトだ中尉。君のコックピットは私の拳の中にある」

龍吾    「……ああ、だがお前もチェックメイトだ」

ライル    「……何!?」

龍吾    「重力質量と慣性質量の壁を超えたサウンドジェネレーターの隙間……読み誤ったか?ライル。お前の拳が俺を潰すのと、俺のビームがお前を蒸発させるのはコンマ1秒の世界で同時だぜ?」

コンピューター    「戦闘シミュレートプログラムを終了します」

ライル    「腕は錆びていないようだ。流石だな。中尉」

龍吾    「伊達に宇宙の風来坊はやっちゃいねえさ。どうだ、すっきりしたろ?」

ライル    「……ん?どういうことだ」

龍吾    「お前の質問の答えだ」

ライル    「…… ふ…… ふふふ…… そういうことか」

龍吾    「今俺達の胸に残ったもの、それが生命の定義、生きる証だ。そして戦う理由ってやつさ」

ライル    「ああ…… そうだ。そうだったな」

龍吾    「勝つぞ。この戦い」

ライル    「ああ、我々は地球を護る牙……」

龍吾・ライル    「地球防衛隊!」

インターミッション もう一つの決着 終

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