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第1話 集いし牙、ドラグーン発進!

CHARACTER

籠倉 龍吾:大和 稟 

羽音 円香:上条 佑人 

リート=L=フューチャー:あっくん 

マイナ=レイラック:森永 新菜 

フォルテ=スト=アプマーシュ:小豆 戒斗 

神山 玲治:天満 ハル 

安里 響介:日野 あらし 

南部 誠治:W.インカネーション 

ドレイザー=アトラス:GOD@怪演隊 

ライル=マイローダ:相羽 丈 

リリィ:青井 凛 

メディム=レオネール:巫女兎 

バルディ=ドーン:宴M九段 

ルーザ=ヴォルカディア:妲己 

ラーゴム=シルヴァニロフ:相羽 丈 

地球圏統一連邦大統領:宴M九段 

オペレーターA:紅夕陽 

オペレーターB:W.インカネーション

議員A:相羽丈 

議員B:オガ

ヴォルカディア兵:

青原 蒼/抹茶粉/やまだあ/大和稟

???:青井凛

​◆S-02 【羽音 円香】

円香N    「WOTGUとの闘いを乗り越えた私達は、荒廃した地球を立て直すために、日々活動を続けています」
円香N    「WOTGUとの闘いから6年が経って、西暦4590年を迎えました。地球は、ディノンタウンに建設された、新地球圏統一連邦の拠点を中心に、大きな復興に成功しています」
円香N    「私と龍吾の後輩。リート=L=フューチャー大佐。マイナ=レイラック大佐。二人は私よりもずっと偉くなって、連邦軍の総司令と、その補佐官をしています」
円香N    「ドラグーンの戦闘部隊長・安里響介少将。技術士官の南部誠治少将。私と同期だった神山玲治中佐も、連邦軍各基地司令官として重要拠点に赴任しました。ちなみに軍事顧問大佐になったドレイザー=アトラスさんは、修行と称して、各基地の戦闘部隊の戦闘訓練教官をしてくださっています」
円香N    「私、羽音円香は、太陽系内の輸送艦隊護衛部隊の隊長をしています。前大戦のヒーローだったフォルテ=スト=アプマーシュ君は、私の部下としてサウンドマシン部隊を率いて活躍中です」
円香N    「そして、籠倉龍吾、元大佐。 ……彼が今どこで何をしているのかは、私も知りません」

​◆S-03 【6何前の別れ】

龍吾    「俺は……軍を抜ける」
一同    「ええ!?」
リート    「龍吾先輩、何言ってんすか! ようやくWOTUGの奴らを倒して、地球はこれからって時に!」
マイナ    「そうです!籠倉さんはこれからの地球に必要な方なんですよ!?」
龍吾    「俺はどうも飽きちまった。殺すのも、殺されるのも…… WOTGUの連中を倒した今、地球に迫る驚異なんざ、お前らがなんとかできらぁ。こっから先は、のんびり生きてくことにするよ。この機体の後始末もあるしな」
玲治    「そ、そんな……! 円香さんを置いて、一人で行くんですか!?」
龍吾    「…………」
円香    「…………分かった。龍吾が決めたことなら。それは正しいんだと思う」
龍吾    「すまねえ、円香。 ありがとな」
リート    「ちょっと!何の話を……」
龍吾    「あばよ、お前ら。縁があったらまた会おうぜ」

    (機体に乗り込む龍吾)
マイナ    「籠倉さん!」
龍吾    「スーパーヴァリエントウォーリアー、オートマチックモード。全機体のコントロールをソニックヴォイダー∑に移譲。緊急時対応コード。籠倉龍吾EXCEED2199」
コンピュータ    「緊急時対応コード・声門 認識完了。全機体のコントロールを、ソニックヴォイダー∑に移譲しました」
リート    「先輩!せんぱあああああああい!」
マイナ    「良いんですか!円香さん、一人で行かせて!」
円香    「……大丈夫。きっと龍吾は、5体のサウンドマシンを封印して、帰ってくる。いつか必ず、あの元気な姿で、帰ってくるから。それに……私もね、もう待たされるのに慣れちゃったんだ」

◆S-04 【再び現在 輸送艦護衛任務にて】

円香    「あれから6年……か。今回は随分待たされちゃったなぁ」
フォルテ    「円香中佐」
円香    「なーに。フォルテ君」
フォルテ    「もうすぐ、輸送艦隊がラグランジュポイントを越えて、地球の引力圏に入ります。進路はクリア。障害になるものは見当たりません」
円香    「ありがとう。予定通りだね。メディム、本部へ連絡。第16輸送艦隊、地球への航行に支障なし」
メディム    「了解です、円香さん」
円香    「も~ 艦長なんだけどなぁ。これでも」
メディム    「すみません、昔の癖で♪  ……あれ?」
円香    「どうしたの?」
メディム    「妨害電波の一種……かもしれません。強力な電磁波をキャッチ」
円香    「この空域で? 太陽フレアの観測は?」
メディム    「気象による影響は……ありませんね……。誰か、何か通信を送っているようなんですが」
円香    「全部記録しておいてね。後できちんと解析しましょう。航行には支障なし、このまま進みます。フォルテ君、哨戒任務ご苦労様、戻って大丈夫だよ」
フォルテ    「了解。哨戒任務を終了し帰投します。通信終わり」
円香    「んっ~~~ 
は~~。 さてと…… この任務が終わったらしばらく休暇になるかなぁ。何とか、記念日に帰れてよかった」
            地球へ進路を取る輸送艦隊

◆S-05 【地球圏統一連邦軍司令本部】

オペレーターA    「第16輸送艦隊はまもなく地球へ到達します。続いて、第8、第21輸送艦隊も、予定通りの航路で到着予定」
オペレーターB    「第16部隊との連絡に、電波障害。提示連絡が遅れています」
リート    「第16部隊っていうと、円香先輩の輸送艦隊か。まあ、先輩の護衛艦隊なら、万が一ってこともないと思うけど」
マイナ    「リート曹長…… じゃなかった。リート大佐」
リート    「マイナ~ 曹長はないでしょうよ。もう昔じゃないんだぜ?」
マイナ    「昔の癖でね。どうしてもあなたが部下だった頃の空気が抜けないのよね。頼りがいがないから」
リート    「あのなぁ~」
オペレーターA    「また始まったぜ、あの二人」
オペレーターB    「オシドリ夫婦って感じだよなぁ」
オペレーターA    「リート大佐が完全に尻に敷かれてるけどな」
リート    「聞こえてるぞ、そこ!」
マイナ    「さ、そろそろ新造戦艦の進水式の時間ですよ。曹長」
リート    「だーもう! お前らーーー!」

◆S-06 【新造戦艦ビッグホーン進水式】

新連邦大統領    「全世界の人々へ。私は新地球圏統一連邦の初代大統領として、今日この記念すべき日にご挨拶できることを無上の光栄とするものであります。宇宙の平和、それをもたらし、それを守るリーダーと鳴るのが、我らが地球であります。地球はこれからも、永遠に宇宙の平和を守るリーダーで在り続けるでしょう。その名誉ある地位のシンボルとして、私はここに、最新鋭艦・ビッグホーンの完成をご報告するものであります」 

   (沸き立つ歓声)
リート    「ひゃ~~ すげえすげえと思ってたけど、こりゃあまたとんでもなくスゲえや」
マイナ    「私達のドラグーンの強化量産タイプ・新造戦艦ビッグホーン。32隻が一斉にロールアウト…… 驚異的なスピードね」
リート    「全くだぜ」
南部    「WOTGUの技術、全くもって驚かされることばかりだな」
リート    「な、南部さん!!? いつからそこに」
南部    「ついさっきだ。私が隣に来たことも気づかんとは、まだまだ大佐の肩書に着られているようだな。リート=L=フューチャー曹長?」
マイナ    「仰るとおりですわ。南部誠治少将」
リート    「な、南部さんまで…… 俺だってそれなりに頑張ってるんですって」
南部    「ま、肩書なんてものはその内にしっくり来る物だ。精進することだよ」
リート    「へ~~い」
マイナ    「南部さん、そちらの基地のお仕事はいかがです?」
南部    「やはり、基地司令というのは今一つ肌に合わん。ラボにこもるか、コックピットにこもるかしている方が、私には似合っているよ。不謹慎かもしれんが、君らと戦い抜いた戦場が、時々たまらなく懐かしく思えてくる」
リート    「そうっすね。俺だって総司令官なんて柄じゃねえや。元はといえば、龍吾先輩のポジションだったはずなのに、何で俺がこんな堅苦しい仕事を」
マイナ    「大佐、口を慎んで下さい。式典の最中ですよ」
リート    「知るかい。つまんねーもんはつまんねーんだよ」
南部    「はっはっは。まあ、地球圏が平和なほど、我々ドラグーン部隊のようなチームは必要ない、ということだ」
リート    「そりゃあまあ、そうなんですけどね」
マイナ    「平和が一番ですよ」
新連邦大統領    「それでは、新造戦艦ビッグホーン。これよりテスト航海に出発いたします。皆さん、その勇姿を拍手で見送って下さい」  (わきたつ歓声と拍手)
南部    「君たちは、今日の席には参加するのか?」
リート    「ええ、もちろん!」
マイナ    「私も参加します。私達の……記念日ですから」
南部    「ならば、この仕事が終わったら、一緒に向かうとしよう。英雄たちの眠る、あの丘へ」

◆S-07 【英雄の丘、終戦記念日】

響介    「んっんっんっ! っぷはー…… ドルゴン艦長、今日は俺達がWOTGUを倒した記念日だ。地球が、大宇宙の自由をつかみとった、記念日だ…… 艦長、一杯やってください。時期に、連中もここに集まるはずだぜ」

    (慰霊碑に酒をかける)
響介    「なあ、見てやってくれ…… 俺達の地球はここまで復興したんだ。叫魔帝国、次元帝国、WOTGU…… やつらと戦った日が夢のようだ。ドラグーンと共に戦ったあの日々は、もう歴史の一ページになっちまった」
リート    「響介せんぱーい」
響介    「おー!お前ら!そろったか!」
マイナ    「お久しぶりです、響介先輩」
響介    「リート、マイナもよくきたなぁ」
リート    「へへっ。総司令権限ってやつで、他の皆もまとめて連れて来ましたよ」
響介    「皆、ありがとう……ありがとう!」
南部    「響介。お前、もう始めてるのか。相変わらずだな、この酔っぱらいめ」
響介    「うるせー。いきなり説教すんじゃねえ、誠治! 硬いこと言うな、今日は記念日だぞ?」

マイナ    「円香先輩たちもそろそろ来ると連絡がありましたけど……」
円香    「おまたせ~~~~!」
響介    「おお!円香!フォルテ!メディム! 遅いぞ、何やってたんだ」
円香    「すみません、今日輸送艦体の護衛任務が終ったばっかりで。急いで来たんですけど」
フォルテ    「新造艦ビッグホーンの進水式で、あっちこっち渋滞してて随分時間かかっちゃいました」
メディム    「妹達にも連絡したんですけど、今訓練の方で火星に居て来られないそうです」
マイナ    「ご苦労様です。三人とも」
南部    「総員、整列!」
響介    「ドルゴン艦長。地球に戻った連中は、今年もこうして集まることができた。皆、それぞれの部署で、地球再興のために、獅子奮迅の活躍だ」
南部    「偉大なる、ドラグーン艦長、ドルゴン=ヒューザーの霊に、敬礼!!」

響介    「よーし、今日は記念日だ!ぱーーっといくぞぉ!ぱーーっとぉ!」


一同    「いえええええええい!」


南部    「ふう~~…… 響介のやつ、毎年終戦記念日になるとこれだ」
マイナ    「でも、響介さんらしいじゃないですか」
円香    「ええ、それにこうやって毎年皆で集まれるのは、とても良いことだと思いますよ」
南部    「そうだな。さ、俺達も少し呑もうじゃないか」
マイナ    「はい」
フォルテ    「所で円香中佐。あれから、籠倉先輩から連絡は……」
円香    「……」
マイナ    「やっぱり……まだなんでしょうね」
円香    「サウンドジェネレーターαは、やっぱりそう簡単に破棄できないと思う。今の地球の技術でも、手が届かない無限のエネルギーだからね」

メディム    「心配ですね」
南部    「まあアイツの事だ。そうそう死んだりはせんだろう」
フォルテ    「そういえば、この6年、ドレイザーさんは姿を見せませんね」
円香    「あ~~ あの人はこういう集まりには中々……」
南部    「確かに。あの男が酒を煽る姿は想像できんな」
ドレイザー    「ほう、私が来ては不満か」
南部    「ああ。飲み会の席で正義の禅問答を聞かされた日には…… ん?」
円香/マイナ    「ど、ドレイザー大佐!!?」
響介    「なにぃ!!?」
南部    「ど、ドレイザー=アトラス! いきなりどうした!?」
ドレイザー    「正義の禅問答をしにきた、と言えばいいのか?」
玲治    「ご無沙汰してます。皆さん」
円香    「れ、玲治くん!」
玲治    「丁度今僕の基地の戦闘訓練に参加してくれていたので、師匠にも来てもらいました」
ドレイザー    「私とて、三度の地球攻防戦に参加した一人。独断で動く事が多かったのは承知だが、この宴に参加する権利はあるだろう?」

リート    「め、珍しい……」
響介    「なんだよなんだよなんだよ~~~ お前にもそういう所があるんじゃねえか!さあさあさあ、飲め飲め!! こっちきて飲みやがれ!」
ドレイザー    「うむ!」
玲治    「おじゃましま~す」
円香    「なんか、すごい人も来ちゃったね。今年は」
フォルテ    「この調子で、龍吾さんも早く戻ってきてくれれば良いんですけどね。まったく、円香中佐を放っといてどこをほっつき歩いてんだか」
円香    「まあまあ…… ああ、そうだ。南部さん。一つ相談したい事があるんです」
南部    「ん?なんだ」
円香    「実は、今回の任務の帰還中に、気になる電波をキャッチして……」
南部    「気になる電波?」

◆S-08 【南部ラボ 宇宙からのメッセージ】

南部    「確かに、複雑な暗号通信だったが、解析できたぞ」
円香    「さすが南部さん。中央指令センターより、南部さんのラボの方が設備が良いですもんね」
リート    「よくこれだけの機材、集められましたよねえ。 うっぷ……」
マイナ    「飲み過ぎよ。リート曹長」
リート    「だから曹長はやめろって……」
円香    「で、解析の結果は……」
南部    「ああ、可能な限り復元してみたんだが、問題はその内容だ」
フォルテ    「内容?」
南部    「ああ」

  (再生を始める)
アルマ    「今私達の……巨大な彗星が……近づいているかも……危機が…… 時間がありません……
早く誰かが、この通信を……早く、立ち上がって……」

南部    「解析できたのはこれだけだ」
リート    「これ…… まさか救難信号じゃ……」
マイナ    「発信源はわかりませんか?」
南部    「正確な位置までは特定できんが、方位程度ならば判明している。アンドロメダ銀河方面だな」
円香    「なんとか、手を打つべきですよ。もし、WOTUGに続く新たな戦力が、宇宙で暴れまわっていて、それを知らせようとしているとしたら……!」
南部    「うむ…… 可能性は否定出来んな」
オペレーターA    「お話中失礼します。南部少将、通信が入っています」
南部    「誰からだ」
オペレーターA    「安里響介少将からです。お繋ぎしますか」
南部    「繋いでくれ」
響介    「よう南部! 昨日はお疲れさん。 って、何だお前ら、雁首揃えて」
円香    「この間傍受した暗号通信の解析をお願いしていたんです」

響介    「それより、ちょっと気になる情報を仕入れたぜ。こいつを見てくれ」
フォルテ    「こ、これは……」
マイナ    「す、彗星……? それも大彗星ですね」
響介    「ついさっき突然こいつが観測された。位置はアンドロメダ銀河方面。しかも地球に向かうルートにある」
南部    「この距離にあるものを今日観測するというのは不自然だな。もっと前から観測されていてもおかしくないはずだ。お前の所の観測班がサボっていたわけじゃないだろうな」
響介    「俺が取り仕切ってる島でンな事あったら、即刻俺様のコスモバスターであの世行きだ、馬鹿野郎」
リート    「南部さん、これ、さっきの救難信号と関係あるじゃないですかね。もしそうだとしたら」
南部    「うむ。 早速、連邦議会に提出して検討してもらおう」
 

◆S-09 【地球圏統一連邦議会】

議員A    「何、たとえ彗星が近づいてきた所で、先ほど完成したビッグホーンが、今や地球に数十隻。たかだか彗星がいくつ近づいてきた所で、ハイレゾリューションキャノンで粉砕できるでしょう」
南部    「いえ、我々があえてこの連邦議会に資料を提出させて頂いたのは、地球だけの問題ではないと考えているからです」
議員A    「しかしねえ南部少将。こんな不確かな情報で新連邦政府が動くわけにはいかんよ」
議員B    「やれやれ、人騒がせな話だ。こんなことで我々を招集するとは」
リート    「お尋ねします!」
議員AB    「ん?」
マイナ    「大佐……口を慎んで下さい」
リート    「地球は、宇宙の平和を守るリーダーではなかったのですか!もし地球人が、新に宇宙の平和と人々の共存を望むなら……」
議員A    「やめたまえ! 確かに君たち地球防衛隊のメンバーは、この星を救った英雄かもしれんが、今この地球のリーダーは我々連邦議会だ!君たちにこの議会の決定を批判する権利はない!」
円香    「……」
新連邦大統領    「いい機会だ。この場を持って君たちに通達をしよう」
リート    「……っ?」
新連邦大統領    「君ら地球防衛隊がかつて保有していた戦艦、ドラグーンだがね。この度ビッグホーンの完成を持って、廃艦を決定した」
マイナ    「!?」
リート    「な、なんですって」
南部    「……」
議員A    「君ら英雄には本当に感謝しているよ。この地球を数千年もの時間をついやして守りぬいてくれた。まさに君らはこの星のシンボル。ヒーローだ」
議員B    「その功績を讃え、ドラグーンもまた記念艦として地球に残すことになった。最高の栄誉だとは思わんかね? んん?」
リート    「そんな…… 俺達のドラグーンはまだ戦えます!」
新連邦大統領    「誰と…… 戦うと言うのかね?」
リート    「ぐっ…… そ、それは、この接近する白色彗星の……」
新連邦大統領    「敵かどうかも分からない不確かなものを相手に、軍を動かすと、君はそういうのかね?それは、宇宙の平和を守るリーダーのするべき行動なのか、よく考えてくれと言っているんだよ」
円香    「……」
新連邦大統領    「議会は閉会とする」

​◆S-10 【英雄の丘 集いし牙】

リート    「くっそぅ!!! あのタヌキおやじどもめ!」
フォルテ    「でも、白色彗星が本当に地球の驚異かどうかわからない以上、議会の言っていることは正しいと思います。今の僕らの権限で、いきなり地球のために艦を動かすのは難しいんじゃ……」
リート    「おいフォルテ!てめえはそんな腑抜けた根性で護衛艦隊の戦闘隊長をやってんのか! ああ!?」
フォルテ    「そ、そんなんじゃないですよ!」
マイナ    「やめなさい、リート曹長。フォルテ君の言うことは正しいわ」
南部    「ああ、その通りだ。悔しいがな」
響介    「ったく…… もしあの白色彗星が地球の脅威になるとしたら、とんでもねえぞ。あの質量を制御して宇宙を移動できる文明なら、WOTGUに匹敵するレベルの高度な文明も持ち合わせてるに違いねえ…… 可能性は所詮可能性だが、ほっとくわけには行かねえのによう……!」
リート    「連中は、叫魔帝国や次元帝国の戦いを知らない、俺達より新しい世代っすからね。実際に痛い目みないとわからないんっすよ!」
  (足音)
ドレイザー    「貴様らは、その程度の覚悟でこの蒼き星を守ってきたというのか」
リート    「ド、ドレイザー=アトラス!」
響介    「うっせえ!てめえみたいにフリーで動き回れる人間にゃぁ俺達の気持ちなんて……」

ドレイザー    「組織が何だというのだ。我々ドラグーン隊は、例えいかなる災厄に見舞われたとて、この星を守る防人としての任を果たしてきた。2000年ものコールドスリープに耐え、軍だけではなく、時には民間組織の協力や、異世界の住民とも心を通わせ、あらゆる驚異を打ち払ってきた。その我々が、たかだか組織の軋轢程度に屈すると言うのか」

一同    「……」
ドレイザー    「今一度思い出せ! この星を守ってきたのが誰なのかを! 今一度考えよ!この星を守る責任の重さを! そして今一度立ち上がれ! 希望の結晶である龍の方舟が、我らを待っているのだぞ!!」


響介    「へ…… へへへ…… ああ、すっかり忘れてたぜ。 この星は……俺達が守りぬいた希望の星だ」
リート    「そうっすね。 他の誰でもない。俺達が守った星だ」
南部    「確かに、今更若い世代の手を血に染めさせることもかろう」
マイナ    「命令違反も、今更始まったことじゃないですしね」
響介    「よぉし、やるぞテメエら!! ドラグーン隊の再結成だ!! 集められるやつぁ全部かき集めてこい!軍も民間も関係ねえ! 片っ端からドラグーンに詰め込んで、白色彗星に殴りこみだ!」
一同    「おおおおおおおおおおお!!!」
メディム    「円香さん……? どうかしましたか?」
円香    「私は…… 少し考えさせて欲しいかな」
リート    「何言ってるんですか先輩! 地球の危機なんですよ!?」
円香    「6年前、龍吾が私達の下を去った時言ってた言葉、思い出したんだ。「殺すのも殺されるのも飽きた」って。私もここ最近ずっとそのことを考えてた。もし白色彗星に文明があるのなら、和解することだってできるんじゃないかな。それができるなら、ドラグーンみたいな強大な武力は、その妨げになると思う」

マイナ    「円香先輩……」
ドレイザー    「羽音円香…… 君は……優しい牙を持っている」
円香    「優しい……牙……」
ドレイザー    「君の言うように、武器を持つことだけが戦いではない。だが、武器を取り戦う事が、我々人類や宇宙にとっては平和の鍵となる時もあることを忘れるな」
円香    「……」

◆S-11 【大統領府】

議員A    「大統領閣下!ドラグーンに不穏な動きがあります!」
新連邦大統領    「何?」
議員A    「元ドラグーンの乗組員達が、続々と集結している模様です」
新連邦大統領    「なんだと?」
議員A    「直ちに、サウンドマシン部隊を展開させます!」
新連邦大統領    「ふふふ…… やはり、止められん……か」

◆S-12 【ドラグーン発進~戦いの幕開け】

響介    「急げー! 新連邦の偉いさん方が俺達の動きに気づく頃だ!さっさと乗込め~い!」
メディム    「ドラグーン発進予定まで、後三〇分。予定より乗り込みが遅れています」
マイナ    「急な招集ですし、ましてや軍規違反ですからね。多少の遅れは仕方ないでしょう」
リート    「なぁに。ドラグーンに乗り込んじまえばこっちのもんさ」
玲治    「所で、円香さんは?」
メディム    「そういえば、まだ見かけませんね。とっくに着いててもおかしくないのに」
リート    「ちぇ!やっぱり円香先輩来なかったのか。見損なったぜ」
マイナ    「いえ、もしかすると新連邦の監視に引っかかったのかもしれないわ」
リート    「ええ?」
南部    「さすがの防衛会議も馬鹿じゃあるまい。当然、我々の動きくらいは察知している頃だ」
響介    「ようし! こちら安里響介、乗船完了だ!急いで出港だ!」
バルディ    「まぁぁて待て待て待て待て待て待てええええい!」(ハイパージェイドGSXで登場)
南部    「んん!?」
バルディ    「おいお前ら。派手にドンパチやらかそうってのに、このワシを置いていこうなんざぁ、思っちゃいねえだろうな」
フォルテ    「バ、バルディ!バルディ=ドーン!」
バルディ    「お前さん達の動きは新連邦の連中に筒抜けだ。港の外にゃぁ連邦軍のサウンドマシン部隊がドラグーンを待ち構えてやがるぜ」

リート    「やっぱりか」
マイナ    「そんなことだろうと思ったわ」
バルディ    「というわけでだ。無事にドラグーンがこの港を出られるように、このワシが直々にお膳立てをしておいてやったのだ。感謝しろ?」
フォルテ    「お膳立て?……とかなんとか言って、またこの艦を乗っ取るつもりじゃないだろうな!」
バルディ    「おいおいフォルテさんよ。昔の話は水に流そうや。白色彗星とやらが近づいて、地球はピンチなんだろう?今更いがみ合って何の得があるってんだ。同じ地球を守る者同士、これからは仲良くやろうや。なぁ兄弟」
フォルテ    「くっ…… 妙なことしたらただじゃ置かないからな!」
バルディ    「無駄口叩いてる暇はねえぜ。懐かしい連中が首を長くして待ってんだ。さ、早く出港してくんな」
リート    「懐かしい連中?」
バルディ    「ここを出りゃわかるさ。さあ!出港だぁ!」
議員A    「ドラグーンに搭乗している、全乗組員に告げる!君たちの行為は、新地球圏統一連邦に対する大いなる反逆行為である!直ちにドラグーンから退艦せよ!繰り返す!直ちに退艦せよ!」
マイナ    「まあ、怖~い」

リート    「飽きもせず抜け抜けと」
南部    「マイクをかせ」
メディム    「は、はい」
南部    「ドラグーンの戦士全員に伝える。降りたいものは今すぐ艦を降りろ。俺達は何も咎めはしない。白色彗星が何者か分からない以上、我々は我々の信念だけで地球を飛び立つ。去るも、残るも、各々の信念で判断してくれ」    

  (静寂が流れる)
メディム    「ドラグーン全艦、退艦者なしです!」
響介    「へっ!あったりめえだ!、総員第一戦闘配備だ! 地球防衛隊ドラグーンは、これより港を脱出、宇宙(そら)へ上がる! 大気圏内では、防衛軍の大部隊による攻撃が予想される。だが、相手は同胞だ。防衛以上の攻撃は一切禁止する。誰も殺す事なく、俺達はこの場を去る!準備はいいか、野郎ども!!」


一同    「おおおおおおおおおおおおおお!」

マイナ    「女も結構いるんですけど?」
メディム    「まあまあ」
響介    「錨をあげろおおおお!!」
メディム    「艦内に異常なし、エネルギー正常。補助エンジン内、圧力正常」
メディム    「動力接続、ドラグーン、プラズマ∨Sユニット、エネルギー充填120% フライホイール始動…… エンジン…… 点火!!」
響介    「ドラグーン! 発進!!!」  

  (港を発進し、大空へ飛び立つドラグーン)
メディム    「サウンドエンジン反応多数!防衛軍の大部隊です!数、およそ50!」
響介    「数揃えてきやがったか! この短時間でよくもやってくれるぜ」
リート    「響介先輩、アークセルバーで出ます!」
パンダリオン    「その出撃、待て! 露払いは我々がさせて頂こう!」
マイナ    「え!?」
パンダリオン    「ブレイブ!フォーメーション!! ジャイアント!パン・ダリ・オン!」
ニシキコイダー    「錦~~~!!!」
ガイアクローム    「ブレイブ!フォーメーション! ガイアクローム!推参!」
バルディ    「どうでえ! 最強の援軍だろうが!」
響介    「な、懐かしい連中ってのは……」
南部    「こういうことか!」
パンダリオン    「ドラグーンには指一本触れさせはしない! たけのこミサイル!発射!」
ガイアクローム    「日本警察・機構特警隊の威信にかけて、この場は我々が切り抜けます! グレイブセット! はああああああああああああ!!」
リート    「うっひょ~~~! つええええ!」
パンダリオン    「ガイアクローム!あれを使うぞ!」
ガイアクローム    「了解しました。隊長!」
ニシキコイダー    「レーザーポッド・カグヤ! レッツ・ゴーーー!!」
パンダリオン    「さあ連邦軍のパイロット!レーザービームの嵐だ!避けられるものなら避けてみろ!!」
ガイアクローム    「ブラックファルシオンセット! 突撃します!!」
パンダリオン    「続く! 切り裂くぞ!! ブレイブ!コンビネーション!!」
ガイアクローム    「はああああああああああああああ!」
パンダリオン    「はああああああああああああああ!」
(レーザービームで翻弄した敵を一気に切り倒していく)
ニシキコイダー    「またつまらぬものを切ってしまった……」
パンダリオン    「なんだそれは?」
ガイアクローム    「かつての日本における、英雄的な剣術士の決め台詞かと」
メディム    「サウンドマシン部隊沈黙! 死傷者…… ゼロ! 完璧です!」
響介    「流石だぜ!」
メディム    「待ってください! 正面!大型エネルギー反応!」

南部    「何!?」
メディム    「艦砲射撃、来ます!」
一同    「うわあああああああああ!」
マイナ    「は、外れた……?」
リート    「あっぶね~~ あと少しずれたら俺達お陀仏だぜ」
響介    「今のは何だ!」
メディム    「こ、これは……! 新造戦艦!ビッグホーン一番艦による艦砲射撃です!」
響介    「何ぃ!?」
パンダリオン    「くっ! 連邦議会の御仁は、いささか本気のようだな」
議員B    「次は外すな。撃て!」
新連邦パイロット    「し、しかし!相手は同じ地球人です!それも地球を守った英雄達の……!」
議員B    「構うな!例え英雄と言えど、今は反逆者なのだ! 撃て!」
新連邦パイロット    「りょ、了解、目標、ドラグーン第一艦橋!」
南部    「まずい、この速度で第二射が撃てるのか。 回避できんぞ!」
メディム    「ロックされました! 第二射、来ます!」
議員B    「連邦議会に逆らう愚か物どもめ! 反逆者は我々の手で罰してくれるわ!」
リート    「来る!」
一同    「ううう!!!」
円香    「サウンドフィールド全開!! サウンドアタッカー!」
議員B    「な、なんじゃとぉ!?」
マイナ    「ま、円香先輩!!」
響介    「お、おっせえええぞ!!!! 何してたぁ!円香ぁ!!!」
円香    「ごめんなさい! マシンラウターの起動に時間がかかっちゃって! この子、プロトタイプだから、しばらく乗ってない内にちょっと拗ねちゃってたようです」
リート    「た…… 助かった……」
議員B    「おのれ~~~~」
新連邦パイロット    「い、いかがいたしますか!」
議員B    「いちいち確認するなぁ! ありったけ打ち込んで、ドラグーンを沈めろ!今すぐにだ!」
円香    「そうはさせない!」   
議員B    「おおお~~~ なんということか!」
円香    「私達は行きます! 例え世界の皆を的に回すような事になっても、私達がなんと思われるかなんて関係ない!皆の笑顔を守るために、私は武器を取る!それが、私が持っている、優しい牙の証なんです!」
メディム    「後方より、ビッグホーン艦隊が集結中! 時間がありません!」
パンダリオン    「ここは我々が食い止める! 皆さんは離脱して下さい!」
響介    「恩に着るぜ! パンダリオン、ガイアクローム、ありがとよ!」
ガイアクローム    「ご武運を!」
メディム    「ドラグーン、全速前進!」
新連邦大統領    「……頼むぞ。ドルゴン=ヒューザーの子らよ」
 

第一話 集いし牙、ドラグーン発進! 終

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